なぜ一人月150万円の技術者の年収は1,800万円でないのか?
昨日の東京出張の帰りに、「ダメなシステム屋にだまされるな!」を購入し、帰路の新幹線の中で読みました。
同じ「システム屋」として、共感するところ、「??」っと思うところ、様々あったのですが、まずは共感する部分について、書いていきたいと思います。
まず、私の商売のスタイルにも直接紐づいている「なぜ一人月150万円」の技術者の年収は、1,800万円でないのか?という章について。
私は約10年の社内SE経験を経て、インディペント・コントラクターのITコンサルタントとして独立しました。
その経験の中から、この章に書かれていることとまったく同じことを思っていたこともあり、独立する際には「特別なオフィスを設けることはしない。」「社員は雇わない。」「間接費用は最低限に。」ということを念頭にスモール・ビジネスでやってきました。
独立の際に、オフィスを構えて社員を雇い、給与計算や各種経理処理などはアウトソーシング、もしくは社内に間接部門を設けることで会社を運営使用とした場合のコストシミュレーションを行いました。
そうすると、どうやりくりしても、現場で稼いでくるSEさんには、自分の年収の1.8~2.5倍程度を稼いでもらわないと、法人として成り立たないことがわかりました。
当然ですが、オフィスを借りて人を雇うとなると、まず一定の固定費がかかるわけですし、間接部門の人間はお金を稼いでくることが無いので、この人たちの給料分も、SEさんに稼いできてもらわなければなりません。
そうするとその費用はどこに上乗せされるかというと、ほとんどはお客さんへの見積書・請求書に上乗せされていくわけです。
しかも、本来一番固定費を食わないはずの「コンサルティング」業務に、このあたりの費用が一番乗っかることになります。
なぜならば、「エンジニアリング」業務にこれを乗せても、日本の請負型ビジネスモデルだと、「焼け石に水」となって消えていくからです。
「コンサルティング」業務というのは、正確にいうと「請負」ではなく「委任・準委任」で契約することがほとんどのはずです。
この「委任・準委任」と「請負」との大きな違いは、「完成物に対する責任の所在の有無」です。
「請負契約」というのは、契約時に定められた一定品質の完成物を納品することに責任が伴う契約であり、「委任・準委任」契約というのは、それが発生しない契約です。
日本におけるシステム開発の現場を見ていると、完成物(納品物)の仕様が固まらないまま、「業務委託契約(請負型)」を締結するケースがほとんどです。
これで何が発生するかというと、そこが見えない仕様変更地獄による納期遅延。そして業務を請け負う側から見ると、赤字プロジェクトの発生です。
日本での契約はとかくその内容が曖昧で、「何を持って完成物・納品物とするか?」の定義が曖昧のまま、完成物・納品物に対して責任をもつ契約をしてしまう傾向にあります。
個人的に日本の情報システム産業がいつまでも変わらない理由(ダメな理由)は、ここにあると思っています。
ちょっと話がそれてしまいましたが、「本来一番固定費を食わないはずのコンサルティング業務に、間接費用等の会社運転費用が上乗せされる」裏事情について書きます。
先に書いたとおり、「エンジニアリング業務」にいくらこのあたりの金額を乗せても、赤字発生のリスクが極めて大きいので、上乗せした分はほとんどが「赤埋め」で消えていきます。
そこで、確実に期間を区切っての契約が可能な「コンサルさん」の登場です。
コンサル契約というのは、完成物に責任を持たない契約であるため、極端な話だと3ヶ月間の契約の中で、プロフェッショナルとしてのサービスを提供したという証拠さえあれば、「納期の遅延」等は発生しないので、極めて赤字発生リスクが低い「商品」になります。
ここに「付加価値」という何の信用も裏づけも無い情報空間上のバリューを、あたかも「希少価値」のごとく乗せて「コンサルさん、一人月300万円也」というバブリーな商品が出来上がるわけです。
そしてこのコンサルさんの給料はというと、年収3000万ということは当然なく、せいぜい700~800万程度というのが相場なのではないかと思います。
残りの2000万超はどこに消えるかというと、会社運転資金に消えていくわけです。
SIerからすれば、こんなにおいしい商売はありません。
本当にコンサルティング能力があるかどうかわからない(日本語をしゃべることもままならない?)、おじさん・おばさん(時には兄ちゃん、ねぇちゃん)に、無理やり「コンサルタント」のラベルをくっつけて客先に送り込み、「その金額の論拠を述べよ」といいたくなるような人月単価を請求してきます。
これがSIerにおける「コンサルティング」商品の実態だと思います。
もちろん実際には、有能なコンサルタントの方がいるのも事実だと思います。
ただ残念ながら、「この人はすごい。絶対にかなわない・・・」というようなITコンサルタントさんにあったことが無いのも事実です・・・
私は日本の「システム会社」がこういった構造的欠陥を抱えていることをずっと感じていたことから、コンサルタント業をやると決めたときから、「インディペンデント・コントラクター」というスタイルでやることを決めました。
こうすることで、俗に言う「固定費」なんていうものはほとんど発生しないですし、稼がない間接部門の方の九両分を稼いでくることも無いので、SIerのコンサルさんと比べたら相当に安価な価格設定でも十分に稼業を営むことができています。
恐らく私は今後もこのスタイルを変えることは無いでしょう。
すでに日本のシステム開発現場では「SIer神話」は崩壊したといっても良いと思います。
そういった「もう大手と組むのはウンザリ・・・」というエンドユーザに対して、私は自分の知恵と経験を「適正な価格で」ご提供することが、自分のミッションだと考えています。
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