「へいちゃん、おはよ~」
土曜日の朝7時過ぎ。
突然玄関から聞き覚えのある甲高いおっちゃんの声がする・・・
あ、ちなみに「へいちゃん」というのは、私のあだ名です。
玄関に行ってみると予想通り大地の園長先生、あおちゃんが玄関に。
田舎に引っ越してきてからは、なぜか玄関には鍵をしない生活。
それを知っている人はバンバン玄関に入ってきます。(笑)
そして・・・
「へいちゃんさ~、今日何にも予定がないんだったらスキーに行かない?」
「スキー!?」
しばし考える。
なぜなら、宮崎出身の私としてはスキーというのは極寒の地にわざわざお金を払って、疲れに行く遊び。もちろん人生においてそんな経験はしたことがない・・・
でも子供にはいい経験になるだろうな・・・
しかもこの園長先生のあおちゃんは子供にスキーを教える名コーチでもあるらしい。
彼が教えた子供達が今、長野県でトップというのは当たり前、インターハイでも2位の成績を収めているスキーヤーが育っているというのだ。
「んじゃあおちゃん、私も含めてスキー教えてください。」
「オッケ~、道具は全部貸してあげるし、リフトも半額券があるから今回はおごるよ!」
おぉ~ラッキ!
っということでさくっと準備を済ませて、車で走ること・・・たったの15分!
生まれてはじめて踏み入れるスキー場が目の前に広がる!!
す、すごい・・・
生まれてはじめてこんなにたくさん雪があるのを見た・・・
そしてすぐに愛娘ユイナへのスキー指導が始まる。
娘は今3歳でこれからやっと幼稚園に行き始めるという歳。
これぐらいの年齢からスキーを仕込んでおくと、ものすごくうまくなるらしいのだ。
こちらがバッチリとスキーウェアを決め込んだユイナ。
「これから何が始まるんだろう」と、期待と不安が交錯する微妙な表情を見せている。
いざ、キッズコーナー(傾斜のゆるい場所)に行って、あおちゃんの指導のものユイナがすべる。
「うまい!!」
親ばか丸出しだが、すべることにあまり恐怖心がないようで結構スキーに乗れている。
たくさんの子供を指導しているあおちゃんも「はじめからこんなに乗れる子はいないよ。こりゃちゃんと指導すれば、来年にはジュニアの試合に出れるようになるよ。」
ユイナ本人もまんざらではない様子で、「もう一回滑る!」っと気合が入っている。
しかしいかんせん、スキー靴が合わないのかしきりに「足が痛い」とむずがる。
結局4本ぐらいキッズコーナーで滑って、しばしレストランで休憩。
ママがいたら絶対に食べられないたこ焼きやアイスクリームをほおばり、ご機嫌な様子。
そして休憩が終わって、ついに私の番。
生まれてはじめてのスキー靴を履く。
インラインスケートはずっとやっていたので、足首をがちがちに固定される感覚はなんとなく似ているのかと思っていたが、それ以上にガチガチに固められる。
ほとんど身動きが取れない状態ではないか!!
そしてスキーを履く。
うぅ~ん・・・ 身動きが取りづらい・・・
こんながんじがらめに固められて、本当に動けるのだろうか?
まずは初心者コースで「ボーゲン」という滑り方を教わる。
これは意外と簡単。インラインスケートでストップするときと同じ要領だ。
ただやはり足が痛い!スキー靴ってこんなに痛いものなの?
そして体重移動をしながら、曲がり方を教えてもらう。
これはインラインスケートとは逆に体重をかけるので、なかなか体が言うことを聞かない。
インラインスケートは曲がる方向の内側に体重をかけて曲がるのだが、スキーのボーゲンでは、曲がる方向の外側に体重をかけると自然にスキー板にテンションがかかって曲がってくれるという仕組みになっている。
スケートの癖でどうしてもひざをそろえて内側に体重をかけてしまうのだ。
「へいちゃんがやろうとしているのはパラレルターンで上級者のターンの仕方だから、まずはボーゲンでしっかりと曲がれるようになってから、そっちに挑戦してね。」
こうやって言われるのだが、体が言うことを聞いてくれない。
それでも初心者コースで3本ほど滑ったところで、だんだんコツがつかめてきた。
そしたら突然「へいちゃん、うまいじゃん。んじゃリフトで上に行こうか?」
・・・後から聞いた話なのだが、普通生まれてはじめてスキーやった人をその日のうちにリフトに乗せるようはことはないらしい。
転び方や板のつけ方、はずし方を1時間ぐらい練習したら、後は初心者コースで延々と基本の滑り方をやるのが普通らしい。
しかしそんな常識も知らない私は、「そんなものなのかな~」っとリフトに乗り込む。
ちなにみ普通はリフトの乗り降りもスキー教室で学ぶらしいのだが、私の場合は見よう見真似。
しかしなぜだかスムーズに乗り降りができてしまった。
そしてはじめての滑走に・・・
ちょっと待ってくれ、すごい角度じゃん!!
この角度を見てはじめて「なんかおかしいような気がする・・・」と気付き始める。
しかし来てしまったので、どんなに文句をいっても滑って降りなければならない。
七転八倒しながら、何とか気合で滑り降りる。
多分ほかのスキーヤーからはかなり白い目で見られていたことだろう・・・
そして有無も言わせず、もう一度リフトへ。
だんだん部活のしごきみたいになってくる。。。
足は痛いし、生まれてはじめてのことなので全身に力が入っているのが自分でもわかる。
こりゃ明日は全身筋肉痛だ・・・
そして2本目。
1本目の七転八倒が利いたのか、ずいぶんとスムーズに滑れるようになる。
こける回数も半分以下に。
ここまで滑って休憩。レストランへ。
ここで偶然3組の大地のパパ・ママ達にお会いしたのですが、「今日がはじめて」というと、「え?デビュー戦でいきなりリフトに乗ってるんですか?」っと驚かれる。
ここではじめて「どうやらとんでもないことをしているらしい。」ということがはじめて自覚をもってわかってきた・・・
しかし、少しずつスキーの面白さがわかってきたところ。
休憩後、さらに3本リフトから滑らせてもらう。
最後の2本は中級者向けのコースを滑る。
急斜面もあり、これまで以上に雪に翻弄され、やはり七転八倒しながら何とか滑り降りる。
しかし傾斜が比較的ゆるいところでは、もう何の恐怖心もなく滑れるようになった。
普通の人はいきなり初日ではできないらしいタンデムターンも、傾斜がゆるいところでは自然にできるようになった。これは教わったわけではなく、「コッチのほうが体力使わないで楽に曲がれる」ということで、自然に体が反応したもの。
ボーゲンは雪が重くなるにしたがって、下半身にものすごい負荷がかかる。
その点、ひざをそろえてのターンだとほとんど体力を使わずにスイスイ曲がることができる。
あおちゃん曰く「あとは急斜面の恐怖心を取り除くだけ。傾斜がゆるいところでは中級者とと同じぐらい滑れているけど、急斜面になると腰が引けている。恐怖心が抜ければすぐに滑れるようになるよ。」っということ。
しかしスキーがこんなに楽しいものとは思わなかった。
久々に体がガクガクになるまで体力を使った。
普段デスクワークをやっていると、産まれたての子馬みたいに体がガクガクになるぐらい疲れることはまずない。
しかし、こんな疲れ方は本当にすがすがしい。
この歳になって新しいチャレンジをして、七転八倒して恥をかくという経験はなかなかできないが、今回は本当にいい経験をしたし、何よりも楽しかった!
人生はチャレンジだ。
恥をかき、悔しさを噛み締め、七転八倒するからこそできたときの喜びも大きい。
たった一時のの恥やリスクを負うことを避けて、チャレンジしないなんてもったいない!!
最後に。
こちらはお昼に食べたカレーライス。
雪原にキャンピングテーブルを広げて、広大な雪山を眺めながらカレーとビールをいただく。
贅沢で豊かな一日をすごさせていただきました。